橙武者クイズ文章置き場

クイズ企画者・プレーヤーの橙武者(神野芳治)です。Twitterでつぶやくには長すぎる文章をこちらに置いています。

【mono-series】(5)「誰にでもわかる」問題でないからこそ、受け容れやすい人もいる~「誰にでもわかる基本問題」以外の可能性

 現在クイズ界で多くの方が楽しんでいるのは、「短文基本」をベースにしたイベントです。「短文基本」は、参加者にとっても、観客にとっても、そして問題作成者にとっても、多くの人に受け容れられやすいスタイルです。
 もし、クイズ関係者以外の方に「クイズって何?普段どんなことしてるの?」と聞かれたら、僕ですら短文基本について説明する。モノシリ系ではなく。

 ただ、「短文基本」のメリットはたくさんあるけど、万能ではないし、全ての人をカバーできるわけではない。他のクイズの方が楽しい、と思う人は少なからず存在します。
 また、「どのようなクイズを好むか」は実力やスタンスとはまた違った話で、「短文基本をまったりやりたい」という人もいれば、「初心者だけどモノシリ系が面白い」という人もいる。

 

 「短文基本」をスタンダードにおきつつ、「短文基本」以外のクイズもいろいろなスタンスで楽しめる環境の方が、より多くの人がよりクイズを楽しめるようになると僕は思っています。今回はそういう話です。

「短文基本」以外の傾向の方が、カバーしやすい部分。

 「短文基本」でカバーしにくくて、他の傾向でカバーできる部分はどんなところか。
 なお、下記については「短文基本」の範囲でも、カバーしようと思えばカバーできる、ということはお断りしておきます。ただ、それには工夫や配慮が必要で、それよりも「他の傾向を用意する」という選択肢もあって、そっちの方が近道という場合があるよ、という前提でお読みいただければと思います。

・「知らなくていいけど、知ってたらすごい」

 前回述べた部分ですので、あわせてお読みください。

diedie16.hatenablog.com

 また、「基本」=「知ってて当然」「知らないのはまずい、自分が悪い」と捉えてしまう人もいる。
 「みんな答えられる」から盛り上がる面もあれば、一方で「一部の人しか答えられない」からストレスが低い面もある。「基本」から少し外れた問題こそ、「知らなくて当然」なわけで、「知らなくていいけど、知ってたらすごい」と捉えやすい。 

 テレビではよく、小中学生や常識レベルの問題を出すことで、「知らなければ恥」という雰囲気を出すことがあります。これはショーとして見ている方はいいし、プレーヤーとしても切実感がある。しかし、どれだけ多くの人が草の根で楽しめるかを考えると、「知らなければ恥」より「知ってたらすごい」のイメージを出した方が受け容れられやすいのでは、と思います。

・「スピードについていけなくても、楽しめる」

 昨今の「短文基本」クイズはレベルが向上しており、凄まじい押しのオンパレードです。僕も若手や中堅社会人と一緒にクイズをやると、全くスピードについていけないことが多々ある。

 「短文基本」のスピード勝負が、やっていても麻薬的にスリリングで、見ていてもスポーツっぽくて楽しい、だから多くの人に歓迎されているのは事実です。ただ、「スピード勝負」についていけない、もっとゆっくり1問1問知識勝負をしたい、というニーズは確実に存在します。

・「久々のクイズでも/特殊な鍛錬を積まなくても、楽しめる」

 「短文基本」のクイズのレベルアップについていこうと思うと、それなりの準備が必要です(サークルの仲間うちだけでやるならいいのですが)。「スカイプでのクイズ」「問題集でのポイント研究」「システマティックな列挙型・時事対策」「ICレコーダーでの録音」など、プレーヤー側の対策メソッドも進化している。

 そんな「短文基本」は、「久々のクイズ」という人の中にはしんどく・縁遠く感じる人がいるのでは、と自分の経験上思います。数か月離れていただけでも、ブランクを取り戻すのはしんどい。他のクイズにしてもブランクは影響しますが、知識の傾向が強いクイズと比べるとブランクの影響は大きい。

 これは「一概に悪い」ということではなくて、追いつこうとする側から見ると、直前数か月の鍛錬で先行するベテランを負かすことができるので楽しめるチャンスが広がる、というプラスの面もあります。ブランクが影響しにくい知識系クイズは、逆に言えば「なかなか逆転できない」。

 「久々のクイズ」という方と現役プレーヤーが一緒にクイズをやるとしたら、短文基本よりも、幅や傾向・難易度を広げた問題の方が合う、と個人的には思います。「短文基本」をやるのであれば、「久々のクイズ」の方だけでやって、現役勢は別のセットにするか早めに勝ち抜けさせるか。自分がOB・OG会を運営するときには、そのような形でやります。

 

 ・ところでmono-seriesは?(その1)

 モノシリは「短文基本」ではないクイズで争われます。「スピードについていけない方」「久々のクイズの方」でも、反応したくなる問題があるかも……という狙いで準備中です。

 一方で、実は「短文基本」の鍛錬がモノシリにも役立つし、逆にモノシリが「短文基本」で武器になる面も実はあります。普段は「短文基本」を楽しんでいる方も、一度違う世界を覗いていただければ、と思います。

 

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学園モノシリ名古屋校の模様。いろんな実力・スタンスの方が同時に楽しめるのが、モノシリの魅力の一つだと考えています。

初心者には「短文基本」だけを出すべき?モノシリは初心者向けではない?

 初心者には「短文基本」だけを出すべきか……という点については、僕はそうは思いません。

 最初の最初は別で、まずは「ボタンを押す」「答える」ことの楽しさを味わってほしいし、そのためには「短文基本」が最適なのは確かです。また、その後どんなクイズをやるにしても、「短文基本」の基礎がある程度ついていた方がより楽しめるのも事実です。変化球にせよ、観客として見るにせよ。

 が、ある程度慣れてきたら、さまざまなクイズに触れてもらった方がいい。「短文基本」のスピード感が好きな人もいれば、より「知識」にこだわりたいという人もいる。初心者にしても、自分の志向や得意不得意は全く固まってないわけで、いろいろなクイズを早い段階で経験した方がいいと思います。

 初心者に対しても、多様性の中で好きな方向・スタンスを選んでもらう方が、【より多くの】人がクイズを【楽しんで】【続ける】ことにつながると思っています。

 

・ところでmono-seriesは?(その2)

 モノシリも、初心者の選択肢の一つとしても楽しめる可能性があると思っています。たしかにクイズの問題としての難易度は高めなので、1日ずっといても答えられないかもしれない。しかし、これまで述べてきたような様々な工夫(早立ち、殿堂、問題コンセプト、終了後の交流、「知らなくていいけど、知ってたらすごい」の強調……などなど)で、他とは少し違う楽しさを提供できる、と信じています。

 

 

 というわけで、「スピードについていけない方」「久々のクイズの方」「初心者の方」、いろいろな方がモノシリで楽しめる可能性はありますので、お気軽にご参加頂ければと思います。もちろん「スピード自慢(音速の腰)」「今まさにクイズを意欲的に臨んでいる人」「ベテラン」にとっても、お楽しみいただける内容だと思っています。うーんいつもより宣伝要素が強いぞ。

 

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