【mono-series】(6)問題をみんなに出す楽しさ~「問題は企画者が責任もって全部揃える」以外の可能性
問題を解く楽しさだけではなく、出す楽しさを。
・「全国で出す」「ネット上でいろんな人が反応」という、個人企画ではできない規模
問題を作って出す、というのはさまざまな楽しみがあります。「自分が用意した問題に、相手がどういう反応を示すか、どこでどんな人が正解を出すか」という面白味がある。これは、「競技」を最優先として個性を抑えた問題を出すときでも、モノシリのようにある程度個性を出した問題を出すときでも、共通して言えることだと思います。
その上で、通常の企画だと目の前の相手の反応だけですが、mono-seriesの場合は「全国&ネットでの反応」というのも楽しむことができる。ここは他ではなかなか味わえないメリットです。
・学生の方にも「モノシリで問題を出す楽しさ」を味わってほしい
……ということで、表ではこれまで言っていませんでしたが、実は1人1問は必ず採用していました。
もちろんその分制約条件は厳しくなり、いろいろと手間もかかります。問題全般のクオリティ、という点を考えても、問題の質を最優先する「面白さ」絶対主義や、慣れている人の問題だけで揃える、という手もあります。
ただ、モノシリはコンセプトに「"知"の持ち寄りパーティー」を掲げています。持ち寄ることの楽しさを、特に学生の方にもまず体験してほしい、という考えで、「学園モノシリについては1人1問採用しよう」と決断しました。
結果的には、本家とはまた違ったテイストの問題が集まり、新たな可能性を見出すことができました。
・その分、今回もかなり手を入れました
一方で、「mono-series」ブランドを掲げて出題する以上、出題ミスや明らかなミスリード、面白さが伝わりにくい出題をするのは、参加者に申し訳ないし、本家のブランドイメージを下げることにもつながる。そのため、かなり問題には手を入れました。
文体については極力自分のトーン&マナーに合わせる形にしましたし、早立ちについては「知識の差によって、立つポイントが差別化できる」ような設計にしました。中には正解と一部分だけ採用して、あとは一から調べ直して再構築したものも何問かあります。裏取りについても複数人のチェックを入れています。
本家モノシリの方でも議題になったことがありますが、どこまで手を入れるか、というのは悩ましいです。問題作成者の名前を掲げて出題する=オリジナリティの問題もありますし、作成者には「ここが問題のキモ・拘りだ」という点がある一方、「それでミスリードを招いたらどうする」など運営側として考えなければならないところがある。
今回は時間も押し迫っている中、「1人1問採用」かつ「問題のクオリティ・トーン統一重視」という形をとりました。ただ、「文体も含めてその人のオリジナル重視」というやり方もあるかと思います。そこはコンセプト次第。
学園モノシリ大阪校の模様。参加者含め皆様から集めた問題をとりまとめて、最終的に225問出題しました。
mono-series以外でも「問題を出す」楽しさを!=「問会(もんかい)」の模索
ここからはモノシリから少し話が外れます。モノシリを下記のようにしたい、ということではないので念の為!
今回で「出場者が問題を持ち寄り、自分の問題のときは解答権から外れる(正解扱いとする)」というやり方もアリだな、と自信を持つことができました。
さらにここを発展させ、モノシリではできない別コンセプトの企画を、イベントもしくはサークルでできないか……と今考えています。
・「句会」のようなものができないか?=「問会(もんかい)」
まだざっくりとしか考えていませんが、お互いの知識を「問題」という形で楽しみ、順位決めよりもお互いの知識の交流を楽しむ、そんな会ができないか、と思っています。いわば俳句の「句会」のイメージです。「問会(もんかい)」とでも言うべきでしょうか。
流れとしてはこんなイメージです。
・1枚の紙につき1問分、「問題」「正解」「解説」を書き提出。解説には「どこが面白いポイントか」が記載されているのが望ましい。イベントの参加人数・ボリュームによって何問出すかは変わってくる。
・事前に集めて主宰が改題する形もありだし、当日集めて出題者の問題に手を入れない、という手もある。あとあと問題集を作ったり共有することを考えると、手直しの有無はともかく事前に集めてしまう方がベター。エントリー時に一緒に記載してもらうのがベスト。
・集めた問題を使って早立ちクイズを行う。問題を読む前には、誰が作った問題かを【事前に発番した番号で】発表し、自分の問題のときは立たない。
・殿堂(10%以下)、得点などのルールは基本モノシリに準ずる。
・進行については、モノシリのように「誰が立った時点では立った人だけ解答、最後まで読み切って座っている人が解答」という2段階制もアリだし、ポピュラーな早押しボードのように「誰かが立った時点で全員解答」もアリ。
・最終的にプレーヤーとして点数が高かった人を表彰するのもアリだし、しないのもアリ(個人的にはしてもいいが、あまり重きを置きたくない。(2)参照)。
diedie16.hatenablog.com ただ、「良かった問題」の投票を行い、その票が高かった人を表彰する、というのは是非やりたい。表彰されたときに「自分です」とドヤ顔してもいいし、奥ゆかしく黙っていても良い。
・セットによっては「お題」を決めての出題、というのも面白いかも。
・さまざまな人が、問題出しやすくするアイデア
・出題前の「誰が作った問題か」の発表は、事前に決めた番号を用いる。「○○が作った問題かー」と注目されたくない人もいるだろうし、誰が作ったかによる「競技としての有利不利」を防ぐ。
・当日および事後の問題集などで名前を出すかどうかは、「出す」「出さない」「上位に入ったときのみ出す」を選べるようにする。
・初めて参加する人、キャリアが浅い人のために、公式サイトで「作問のコツ」「良かったと思う問題」を掲載するのが望ましい。
・夏井いつき先生のようなスパルタ指導・毒舌は避け、あくまで「問題を出す楽しさ」を重視する。
僕自身は、「提出問題に先輩がペン入れして真っ赤になった」「酷い問題群には紙に大きく×だけつけて返された」「みんなの前で『この問題のここが駄目』『ここはああすべきだ』と1問につき最大10分近く検討した」育ち方をしてきました。
20年前はそれが「当然」でしたし、その時の先輩には感謝をしています。が、2018年の社会的な雰囲気にはそぐわないし、このやり方は「問題を出す楽しさ」にはつながりにくいので、避ける。
より良い問題を作るためにアドバイスするにしても、やり方は考えなければならない。
・「作者ならではの個性やこだわり」と「質の担保」をどうするか?
ここは悩ましいところです。
作者の個性やこだわりは大切にしたいが、文体が全体的に整っていなかったり、聞いていてわかりにくい・ミスリードを誘うなどの点をどこまで許容するか。もしくは事前に主宰が全部赤を入れるのか。そもそも裏取りをどう考えるか。
ここらへんはいろいろと試してみて、皆さんの意見を聞いてみたいところです(テストとして「セットによって変える」というのも手かもしれない)。
「問題は企画者が責任もって全部揃える」以外の可能性
一般的なクイズイベントでは、参加者は参加者、企画者は企画者ときっちり分かれており、「問題は企画者が責任もって全部揃える」という形をとっています。
しかし、今回の学園mono-seriesのように、「参加者が出題側に回る」というスタイルもありなのではないか。もちろんクリアしなければならない点もあるし、繰り返しになりますが「個性・こだわり」と「手直し=クオリティ・トーンの統一」のバランスをどうとるか、というのはまだ試行錯誤が必要ですが、いろんな大会で試されてもいいのでは、と思います。
その一環として、サークル内になるかテスト的なイベントになるかはわかりませんが、一度mono-seriesとは別で「問会」は試してみたいと思っております。
今回のmono-seriesは既に問題はしめきり、現在5人のチーフによる最後の詰めの段階です。もし「問題を出したい」という方はまた来年お願いします。まずは、今年の選りすぐりの問題群をお楽しみに!10月14日(日)開催です!