橙武者クイズ文章置き場

クイズ企画者・プレーヤーの橙武者(神野芳治)です。Twitterでつぶやくには長すぎる文章をこちらに置いています。

【プレーヤー】普段やっているトレーニング

8月28日に「Knock Out」関連でこんな記事があがってました

hominis.media

 確かに収録終わった後に追加で取材あったな。これだったのか。で、「本大会に向けての対策」について聞かれました。

www.fami-geki.com

 正直なところ、6/24の「Knock Out」前は「学園モノシリ」「長野市オープン」「地域最強位/新人王」「本家モノシリ」の4大会などを抱えていた頃で、正直「対策どころでは……」「それよりも生き延びられるかどうか」という日々でした。
 なので、普段からやってることを話すことにしました。うまくまとめてくれるかと思ったら、一人だけ7行もしゃべってやがる……。

 「クイズの対策で必要なものは大きく2つあります。問題集に載っているようなみんなが知っていることを落とさないこと、みんなが知らないことをいかに覚えるかということ。弱点をなくして、得意分野を伸ばすことが大事だと思います。後者は問題集を読んでも身に付かないので、私は意図的に普段自分が読まない雑誌、本、漫画を定期的にきっちり読むようにしています。そして、読んだものは問題にしていろいろな人に出題して定着させていく。本も偏らないようにして、他人が知らない分野を広げてきました」

  最初に「大きく2つあります」とコンサル気取りの意識高い就活生みたいな喋り方しているのに、そこから「2つ」の中身を盛り込みに盛り込んで話が長くなるタイプ。まあでも嘘はついてないな。

 

 というわけで、自分が「プレーヤーとしてのトレーニング」で何をやっているのか、2つの軸でお話しします。あまり「クイズプレーヤーがどんなトレーニングをしているか」というのは語られることがないのですが(サダヲくんくらい?)、今後いろんな人の話を聞いてみたいと思っています。

 特に若手の方に向け、何かの参考になれば幸いです……けど、なるのかこれ?まあ、やっている人が少なそうな傾向だとは思うので、逆に「僕が得意そうな傾向は苦手」とか、「自分も他の人の傾向と違うような気がする」という人向けかな、とは思います。

「(クイズ界の)みんなが知っていることを落とさない」軸(守り)

・問題集を読み、転記する

 問題集を買ったら、まずわからなかった問題にチェックを入れます。基本、「どこで押されたか」や「前フリを覚える」よりは、「事実を堪能し、覚える」ことを意識しています。
 購入した問題集は、原則1ヵ月以内に読み、スキャンするのをマイルールとしています。

 チェックした問題はスキャンした後、Excelに転記。僕は一文一文全部転記します。キーワードと答えだけだとどうも頭に入らない……。ここ8年の「わからなかった問題」リストは5万問を超えました。ファイルが重い。
 スキャン後、原則1ヵ月で転記するようにします。

・複数回わからなかった問題を重点的に覚える

 わからない問題全てを覚えるのが理想ですが、まあ無理。そのため「複数回間違った」問題を関数で抽出し(さらにファイルが重くなる)、まず優先的に覚えるようにしています。

 「一対一対応」ではなくなるべく複数の要素をセットにして問題を覚える。というより「一対一」だと気が向かない。
 どうしても覚えられないのは、複数回振り返ったり、青ペンでノートに書きつけたりしてなんとか覚える。

・ペーパーは「正解と問題を見比べ」ではなく、「実際に解く」

 昔、ペーパーの順位の立て直しが必要だった頃は「1日2つずつ解いて転記する」というのをやってました。今はそこまでやっていませんが、ペーパーは「正解と答えを見比べる」のではなく、「正解を見ずに、まず実地のように答えを書きだす」ようにしています。
 一時期は慣れのために紙に書いてましたが、今は転記のスピードをあげるためExcelに打ち込んでます。便利なはずのサジェスト機能がちょっと邪魔。

・クイズ音声を聞く

 1日30分、雑誌を読みながら「どこで押したか」を意識しつつ聞いています。どちらかというと「反応に慣れる」ためです。若手はもっと大量の時間、集中して聞きこんでいるはずなので、追いつくためには質量ともに上げるべきですが、気が向かない。
 それ以外のポイント研究は気が向かないので行っていない。
 なお移動中はFM802を聞いていることが多いです。この時間も音声を聞いていればもっと早くなれるんでしょうが、気が向かない。

 正直「気が向かない」で済ませてしまうのが、競技クイズプレーヤーとして頭うちになっている最大の要因なのですが……。

・時事チェック

 「時事チェックリスト」というのを作って、イベント前に更新・見返すようにしています。自分でやっておきながら「チェックした時事は好きではない。自然と目に入った時事が好き」というひねくれ具合なのですが、これはまた後日。

f:id:diedie_16:20180830135305j:plain

肥後橋Ghar」のポークビンダルー'18。「ボタニカリー」と連戦で3度ほど行きました。店によって極端に個性が違うのがスパイスカレー巡りの醍醐味(気が向きすぎ)

 

「(クイズ界の)みんなが知らないことを覚える」軸(攻め)

・幅広いジャンルの雑誌を読む

 新聞は「朝日新聞」「日本経済新聞」「日刊スポーツ」、雑誌は「AERA」「Number」「日経エンタ」「ダヴィンチ」「サイゾー」を定期購読してます。日経は職場で、他は家でエアロバイクを漕ぎながら読んでいます。

 それ以外は「auブックパス」(月額562円(税抜き)の定額サービス)でいろいろな雑誌を読むようにしています。ノルマは1日1冊。極力「普段自分が触れない世界」に触れるため、女性誌やカー雑誌、専門誌なども読むようにしてますが、何を言ってるかよくわからん……。

 とはいえ、タメスエくんのように「最先端のトラクター雑誌から5問を作る」人もいるわけで、上には上がいる……。

bookpass.auone.jp

・本を月10冊、漫画を月60冊読む

 といってもクイズがなくても、読書自体は趣味なので、特に「クイズのために読んでいる」わけではありません。「自分の嗜好よりも意識して幅を広げる」「出てきた単語でクイズになりそうなものはメモする」というのは、「クイズのために」要素が若干入ってきます。

 本については、極力幅広いジャンルを図書館で借りるようにしています。「行ったことない棚」「借りたことない図書番号」を意識して借ります。とはいえ小説も好きなので、小説とそれ以外が半々の割合になることが多いです。

 漫画については、「ジャンプ」「マガジン」「スピリッツ」はエアロバイク漕ぎながら読んでいるので、「記事やネットで見かけたもの」「賞レース関連(クイズ屋だ……)」あたりを「ツタヤディスカス」のレンタルを使って借りてます。30冊借りて送料込みで約4500円(20泊21日)。送料上がったが便利さには勝てない。なお、最近いろんな人に勧めているのは『BLUE GIANT』です。

 

 本や漫画から仕入れた知識は確かに差別化された武器になり得ます。しかし、今の自分の相対的な実力を考えると、その前に「スピード勝負の土俵に乗るための努力」を重視し、ポイント研究などに時間と労力を割いた方がいいのだろう、とは思ってます……が、どうも気が向かない。

・読んだものは問題にする

 「定着させる」ためというか、もう25年クイズやってると「知らない知識はメモする」「メモしたら問題にする」のは習慣です。Excelにメモの一部だけ打ち込んで、企画前に成文化しています。
 基本、「出そうな問題」を作るのではなく、「自分の興味があること、触れたこと」の問題しか作りません。もっと「出そうな問題」を作ればいいのでしょうが、やっぱり気が向かない。

 

  他にもやっていることはいくつかありますが、大きな方向性としてはこんな感じです。
 正直なところ、今は比較的クイズに時間を費やせていますが、今後はどんどん時間が使えなくなってくるので、今のうちに下地を固めておきたいところ。将来を考えると、「ブランクが空くと鈍る実力・知識」ではなく、「ブランクがあってもすぐに戻せる実力・知識」でありたいところです。

 

 

 この一連のトレーニングの結果、現状どういう強みと弱みになっていて、実績としてどうか、というのはまた改めて書いていきます。
 まあ「気が向かない」というのが頻発している時点で、競技者としては……。念の為書いておきますが、あくまで「僕としては気が向かない」という話であり、「そういう努力をしている人をどうこう言いたいわけではない」ことは補足しておきます。むしろ、そういう努力が楽しんでできる方々が皮肉でもなんでもなく羨ましい。

 皆様も、「こんなトレーニングをしている」というのがあったら、ぜひ教えていただければと思います。

 

 

 あ、もう一個記事上がってた。どの試合もむっちゃいい熱戦揃いですので、見られる環境の方はぜひ!

news.nicovideo.jp