25問出すのに40分。1問あたり96秒。
これが、mono-seriesの時間感覚です。
一方で、abc16thの2R・第1セットを聞いてみました。
38問出すのに10分。1問あたり16秒。
これが、現在主流とされている「基本短文」の時間感覚と思われます。
もちろん矢継ぎ早にさまざまな知識が出題されるクイズが面白い、というのもよく理解できます。自分が普段やっているクイズもそちらに近い。
でも、モノシリのような時間感覚のクイズもあっていいのでは、という提案について、今回述べていきます。
ストイックなまでに、「問題」以外の要素を除外する最近のクイズ
最近の(特に若手の)クイズシーンを見ていて思うのは、「とにかくテンポよくクイズを出す」ということが重視されている、ということ。たとえばテレビだと問題のあとに「解説」や「感想」が入ることが多いのですが、クイズイベントだとそれらはほとんど見かけません。
abcのように「BGMも流して、とにかくテンポよく進める」イベントはもちろん、ある程度問題にこだわって難し目の出題をするイベントについても、解説が入ることは少ない。「一言解説入れれば、もっといろんな人に面白味が伝わるのに……」と思ってしまうこともあるのてすが、それよりもテンポが優先されているようです。
サークルにしても、上の世代と比べると、問題と問題の間に何か会話が挟まることは少なくなった記憶です(いろいろ喋る、どころか叫ぶ若手もいることにはいますが少数派。もっとも同等以上に自分の方が騒がしい……)。
ある若手社会人にも「神野さんは問題と問題の間にいろいろしゃべりたがりますけど、今の若手はとにかくたくさん問題聞きたいんですよ」と窘められたことがあります。うーん、そういうものなのだろうか。
そういう傾向は強いとは感じますが、みんながみんな、そうではないのではないだろうか。
そういえば、最近の問題集はストイックなまでに「問題と答えしか載っていない」ものが増えたように思います。昔はコラムや解説に力を入れた問題集もあったように思えるのですが、最近少数派になってきた感です(もちろん撲殺できるレベルで力の入った解説が掲載された分厚い問題集もありますが)。
クイズの面白味は「問題と答えでだけ語る」、というのが流行りなのでしょうか。
mono-seriesは、こんな形で進行しています。
(1)問題を出題、わかったところで立つ。2秒カウントし、その間で立った人は同着と見なす。
(2)立った方に対するシンキングタイム15秒。
(3)数単語戻ってから続きを最後まで読み、残りの方向けにシンキングタイム15秒。
(4)立った方に再度起立いただき、答えをオープン、正解発表。
(5)解説を表示しながら、殿堂入り処理、口頭で簡単な解説。ただ解説は基本表示に任せて、あまりくどくど説明しない(25問出し切ることを重視)。
この一連の流れで、ざっくり1問96秒。基本短文のクイズより6倍の時間を、1問につきとっていることになります。
もっと出題数を増やすために、一般的な早押しボードのように「誰かが立った時点で全員書く」というのも試しましたが、そうすると「立った方以外は何がなんだかわからない」=「多くの方が楽しむためには、最後まで聞いて書く要素を入れた方がいい」と判断しました。
一つ一つの問題・知識を、いろいろな実力の方とじっくりと楽しむために行きついたのが、この「1問に96秒かけるスタイル」なのです。
解説を通して、問題の「面白さ」を伝えたい。
・モノシリの出題コンセプトと、欠点と、解説によるカバー。
(1) 「その業界で知られているか」
(2) 「当日わからなくても、後で目にしたときに“あっ”と言えるか」
(3) 「”そんな世界・業界もあるんだ!””その世界・業界ではそんなことが常識なんだ!”と思わせることができるか」
というのが、mono-seriesの出題コンセプトです。
逆に言えば、問題を聞いただけだと、その問題のどこが面白いのかわかりにくい、という欠点もあります。もちろん問題を聞いただけで伝わるのがベターではあるのですが、ジャンルによってはわかりにくいものもあります。
なので「その問題のどこが面白いのか」「どの知識と繋がっているのか」を、できれば解説で伝えています。一言入れるだけで、面白さをより伝えやすくなる。
・ビジュアルで示すことが、「面白さ」を伝えるのに効果的。
また、言葉だけではなく「ビジュアルを示す」というのは、「そういうことか!」と思わせる効果が非常に高い。こんな感じです。
痛カーテンの問題は「タッセルにもアニメキャラが描かれていること」「今回は"NEW GAME!"を例に挙げたこと」そして「安くても15,500円(サイズが大きくなるともっと高い)」ことを口頭で伝えました(本当は解説欄に盛り込みたかったのですが時間がなかった)。複数の地区で「抱き枕と比べると……」みたいな会話になりました。
これはビジュアルを示さないと「何が何やら」という問題。
まず最初に、ツインテールの問題にこの写真を採用して問題提出してくださった方は本当にありがとうございました。内田真礼さんとのツーショットを収めることが出来ました。実質内田真礼さんのおかげで優勝出来たようなものです。嘘です。でも本当にこれでエンジンかかりました。#monoseries pic.twitter.com/CCenMiiEAr
— takumii (@HayaminTakumii) August 11, 2018
ビジュアルに対して思わぬ反応を示す例。ちなみに右の方には怪獣の方のツインテールの画像も用意しています。
また、mono-seriesの特殊事情として、テンポよく「隣の人と相互採点する」するためには「正誤基準を見やすく伝える」ことが必要で、そのためにはプロジェクターでの問題表示が必須(特に漢字)、というのはあります。「これって漢字だとどう書くんですか」などの時間は、盛り上げという点では不必要であり極力削りたい。だから漢字や想定される正誤基準は予め表示しておく。
ただ、そうでないイベントやサークルにしても、解説や問題表示というのは、より多くの人に面白さを伝える大きな力になると思っています。
問題についておしゃべりすることの楽しさ。
「なぜこの問題を出したのか」
「この問題のどこに、出題者は面白さを感じているのか」
「この問題の知識は、他のどこと繋がっているのか」
などについて問題の後に話をすることは、僕は大変楽しいと思っています。前述の通り、今の流行りは「会話」ではなく、「とにかくたくさんの問題をテンポよく」なのかもしれない。クイズはあくまで「競技」であり、「競技」の最中に勝負と関係ない話をしたくない、という方もいるだろう。
しかし、「問題」「知識」を通して、世界を広げたり、お互いの感想を述べたりすることは、(現在見逃されがちな)クイズの楽しみ方の一つだと思いますし、そのきっかけになるような問題を出題していきたい。
mono-seriesでは出題数とのバランスを考えて「画面表示+一言二言」レベルですが、一言二言ではなく、「問題出す→1分近く参加者も交えてやりとりする」形で1問あたり3-4分使うイベントがあってもいいし、個人的には是非そういうものをモノシリ以外でテストしてみたい、と思っています。
余談になるのでまた別途書きますが、問題集でも僕は極力「解説」だけではなく、「主観として面白いと思った点」「他の知識との結びつき」そして「例題」を掲載するようにしています。これも狙いとしては同じです(こちらのサイトに100問の無料お試し版を掲載しています)。
「テンポよく、たくさんの問題」で競われるクイズイベントも確かに面白い。
けど、一つの問題について時間をかけゆっくり堪能し、解説を加えた上で「どこが面白いのか」を丁寧に伝える。そんなクイズの楽しみ方もあると信じていますし、もっと広めていきたいと思っています。
ゆったりと1日225問の知識を楽しむmono-series、まだまだエントリー受付中です。
120人突破!
mono-series.jimdo.com