橙武者クイズ文章置き場

クイズ企画者・プレーヤーの橙武者(神野芳治)です。Twitterでつぶやくには長すぎる文章をこちらに置いています。

クイズ工房Qraft(1) どんなことをやるの?&やろうと思ったきっかけ

 クイズ工房Qraft、いよいよ動き出します。

 正月に仮サイトを立ち上げ、1月末にサイトの骨格だけ先に作ったのですが、なかなかそこから先に進めていませんでした。

 しばらくmono-series(特に学園/スピンオフ)の準備、及び地域最強/新人王のチームビルディングなどと並行になりますが、「Qraft」は着実に進めていく所存です。

 クイズ界は多くの有志のおかげで発展を遂げてきていますが、それでも私の目から見ると、まだ「足りない部分」があります。その足りない部分を、「Qraft」を通して埋める一助になれば、と思っております。

qraft.jimdofree.com

 まだ私の頭の中にしか無い段階ではありますが、公式サイトとともにこの「文章置き場」を使い、数回にわたり今考えていることを触れていきます。

 

 どんなことをやるの?

 大きく分けて2つです。
 「クイズパーティ(仮)」の開催と、「さまざまな実力、経歴、スタンスの方が楽しめるクイズ界」の実現のための情報提供です。

クイズパーティ(仮)

 「資格別で複数日程開催」「一日程あたり複数会場(2-3部屋)」で、「さまざまな企画を用意し」「一日通しの参加もありだし、一部だけの参加も可」というイベントを、定期的に開催するというものです。

qraft.jimdofree.com

 

情報提供

 「参加機会と正解数を均等にすることで、参加者の満足を高めること」や、「その手段としての早立ち」、その他「場を増やす(複数部屋など)」「自分に合ったレベル」「参加しやすさ」など、「より多くの方がクイズを楽しめるノウハウ」を、他のイベントの例も引きながら整理・共有・提示していきます。

やろうと思ったきっかけ

クイズブーム=この世の春?

 現状のクイズ界は、過去数十年の愛好家たちによる地道な日々の活動に加え、「高校生クイズ(知の甲子園)」「東大王」「QuizKnock」などの効果で、一気にブームを迎えつつあります。
 また、No.1決定戦についても、若手からベテランまで「目標にできるイベント」が多々あり、これまで以上の大きな盛り上がりを見せています。

 この状況だけ見ると、クイズは「この世の春」のように映るかもしれません。しかし、私は「このまま何もしないと、衰退するリスクがある」とやや悲観的に捉えています。

  それは、「実力/実績が右肩上がり/現状維持の方以外が、クイズを楽しみ続ける場が少ない」「一度辞めてしまうと、なかなか復帰できない」という点にあります。

大前提=今の「勝ち残り型のNo.1決定戦」「短文基本中心の早押しクイズ」を批判するつもりはありません。

 大前提として、私はプレーヤー・企画者として頑張っている他の方々を批判するつもりはありません。

 「勝ち残り型のNo.1決定戦」の中で、ペーパー落ちから2R進出、2Rで1問わかっただけなのが勝負に絡めるようになって、ついには勝ち抜け、さらに先のラウンドへ……。
 また、「短文基本の早押しクイズ」を日々努力することで、以前はわからなかった問題がわかるようになり、全然押せなかったのが徐々に押せるようになり、ついには仲間にも勝てるようになり……。

 という「右肩上がり」の状況はものすごく楽しいです。
 もちろん「負けて見ているだけ」「全然押せない」のが辛いときはあっても、「昨日の自分より、今日の自分の方が上」と思えるうちは楽しい。これはクイズのみならず、あらゆること(趣味以外でも仕事でも)に共通することだと思います。

 また、「右肩上がり」でなくても、ある程度「現状維持の中で、何回かに1回は輝ける」のであれば、クイズを中長期にわたって楽しみ続けやすい。

  今の「No.1決定戦」「短文基本の早押しクイズ」は多くの方に支持を得て、また多くの方がスタッフとして支えています。その文化圏は今後も「クイズ界のone of them、の中の一つのメイン」として発展していってほしいと思っていますし、自分もなんらかの形でその一助になれれば、と思っています(地域最強位/新人王の開催など)。

  しかし、だからといって「勝ち残り型のNo.1決定戦」「短文基本中心の早押しクイズ」だけで、全ての問題が解決するわけではありません。

  全ての人が、「右肩上がり」「現状維持の中で、何回かに1回は輝ける」ではないからです。

クイズをやりたい人が増えたからこその、悩み

 「No.1決定戦」に出ても全然正解できない。
 周囲の人達のように努力できる余裕がない。努力してもついていけない。
 反射神経に難があり、「短文基本クイズ」は荷が重い。
 どんどん上に行かなくてもいい。自分のペースでクイズをやりたい。

 

 こういう方のほうが、むしろ多数派だと思っています。
 そして、こういう方に対してかける言葉は、「努力すればいずれは強くなれる!さあ、みんなで強くなろう!」ということではないと思っています。
 努力して強くなりたい人はさらに上を目指す。手の届きやすい「資格別No.1決定戦」もいいでしょう。けど、それ以外のクイズイベントがあってもいい、と思っています。

 

 今私が懸念しているのは、「クイズに興味があって、入ってきた方」に対して提供できるサービスが非常に少なく、結果、2-3年で離れていってしまう人が増えるのでは……ということです。まったりクイズを楽しめるサークル、クイズ以外の交友関係に恵まれた方はいいのですが、そうでない方はどうすればいいのか……。


 クイズに触れる方が大量に出てきたことは大変めでたい。しかし、その方々が楽しみ続ける仕組みができているか?というと、まだまだだと思っています。
 膨れ上がった「ブーム」がしぼむと、一気に引き潮になる。バブル経済や、「一時期人気だったが今は消えてしまった外食店」と同じようなことが、このままだとクイズに当てはまるのでは、と危惧しています。

 

 また、昨今のブームを見て、一時はクイズから離れていた人が「たまにはやってみようかな……」というニーズもあろうかと思います。しかしその人向けの情報は乏しいですし、現状の「スポーツのような短文基本クイズ」は余程配慮しない限り(うまく組み分けする、企画を工夫する、勝ち抜け人数を増やすなど)、「たまにやろうか」という人にとってはなかなか楽しみにくい、というのが現状です。

 もちろん、Qraftでできることには限りがあります。

 「こういう考え方もあるよ」「こういうやり方もあるよ」というのを示し、できる範囲(に40人前後×数回レベル)で実体験して頂く。Qraftにできるのはそこまでだと思っています。

 しかし、Qraftで示した「考え方」「やり方」を、参考にして頂ける方が増えれば、「さまざまな実力、経歴、スタンスの方が楽しめるクイズ界」に近づけることができるのではないか。

 ……クイズ歴27年、42歳のベテランにしては、あまりに非現実的で、ロマンチストに過ぎる考え方かもしれません。が、これまで諸々のイベントで培ってきた経験を参考に、2019年の今だからこそできる発想をつけ加えることで、新たなものを生み出せるのではないか、と考えています。

 

 これからのQraftにご期待ください。
 5-6月に続報をご報告できれば、と考えております。(サイトは定期的に改修していきます)

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というわけでQraftも新たにスタートです!長野の地からよろしくお願いします。