働き方改革が叫ばれる昨今、クイズイベントの準備についても他人事ではない。
「いや趣味でしょ」「本人が好きでやってるんでしょ」という人もいるかもしれませんが、イベント前になると一日数時間を費やし、時にはプレーヤーとしてのクイズや他の趣味を我慢し、仕事や学業をしながら夜遅く・朝早くタスクをこなし……という人も多いかと思います。好きでやってるにしても、無理が続くようだと長続きしない。
といってもまあ、他のクイズ企画者に物申したい、というのは全くなくて、神野は今年こういう風にしたいよ(ただできるかどうかはわからんよ)、という話ですのであしからず。
具体策:今年はタスクの時間に上限を設けます
神野個人のクイズタスクについて、以下のようにします。
○クイズタスクの1日の上限を「平日2時間、休日7時間」とします。
○また、1週の上限を「15時間」とします。
○上記は休憩時間を含みます。具体的には、「ポモドーロテクニック(25分集中してタスク、5分休憩)」を用います。そのため、上記に挙げた時間からすると、実働時間は25/30≒約8割、ということになります。
34.25分集中し、5分休憩し、また25分集中し、5分休憩……を繰り返すという時間管理の方法を、考案したフランチェスコ・シリロがトマト型のタイマーを使ったことから、イタリア語で「トマト」という意味の言葉で何テクニックという? #橙武者クイズ
— 橙武者@mono-series&Quiz Do&Qraft (@diedie_16) 2019年5月6日
○ただし、緊急事態や「本当の山場」は当然あり得るので、1年に5日&3週までは、上記の上限を2倍(平日4時間、休日14時間、週30時間)まで緩和することがあり得ます(36協定のように)。
○自分がクイズイベントに参加する日については、原則「自分の勝敗が決するまで」一切のクイズタスクは行いません。SNSや各イベントのメールボックスも見ません(なので「○○杯に持ってきてください」とかの依頼は、前日までにお願いします)。ただ、みんなでワイワイ系のイベントの時は、場合によってはタスクと並行します。
☆今回のクイズタスクについては、クイズイベントにまつわる準備全般を指します。
ただし「当日・リハの運営」と「問題の自作」については除外します(自作以外の「問題選定・裏取り」「問題提出者へのお礼」などはタスクです)。後者については、自分の場合「問題作成はプレーヤーとしての鍛錬の要素が強い」「そもそもあまり問題作成の労力を求められることが少ない」からです。
今後僕といっしょに大会を作り上げていく方におきましては、僕は上記のような形でスタッフ業務を行いますので、あらかじめご理解いただければ、と思います。(モノシリなど各イベントで具体的にこうしたい、というのはまた後日書きます)
ここからはこういうことを考えた背景です。長くなるので興味ある方のみどうぞ。
背景:自己分析~なぜタスクをため込んでしまうのか
はじめてクイズイベントのスタッフになったのが「第1回神奈川県クイズ大会」という高校生向けの大会(といっても桐蔭・相模原・塾高の3校対抗戦。確か1回限り)で、これが1993年(高1のとき)。それ以降ほぼ絶えることなく企画者側に携わってきて27年です。狂ってるな。
主催者だったイベントは数知れず、ではあるのですが、その割に「タスク・リスク管理能力」「割り振り能力」はお粗末で、一方で直前と当日に馬力とトラブル対応力でなんとかしてしまう、というのが続いてきています。
一方で、43歳になろうとする中、体力・気力・割ける時間は当然減ってきています。そんな中で、今までのような「馬力」「トラブル対応力」頼みではいかん。また、そもそも規模が多くなればなるほど、起こり得るトラブルの規模・複雑性は増すわけで、ますます「馬力」「トラブル対応力」ではなんともなりません。
事前に「負担を分担できるようにチームビルディングとモチベーションアップを行い」「無理がないよう負担を分担し」「そもそもトラブルが起きないように事前にリスクを想定し、一つ一つ潰す」方法に力を使い、ノウハウを蓄積したい、と思っています。
で、なんで今までこれができなかったか、です。ここから先、一部「自己評価高すぎない?」と鼻につく部分もあるかと思いますがご了承ください。行き過ぎた自虐も自尊も良くない。
クイズイベントを作り上げるにあたって、いろんな「力」が必要です。ざざっと挙げ、自己評価してみます。
○コンセプト設計力(構想力)
→◎クイズ界を自分なりに分析し、モチベーション高く各イベントを開催。「複数会場制」「早立ち」など今まではメジャーではない(複数部屋は過去にもあるし、早立ちもベースは早押しボードなので、0からの発明ではない)スタイルを具体化し実現。
○コンセプトを明示し、(他人を)巻き込む力
→◎ある意味厚かましくお願いしてでも、他の方の力を借りることはできている。
○コンセプトを具体的な問題・企画・演出に落とし込む力
→○ここは僕よりもっと優れている・緻密な人はいるけど、これまでの経験等からそれなりのクオリティのものは作れる。
○チーム運営力
→△効率的ではないし、メンバーのモチベーションアップももっとやりようはあるが、ひとまず大会を走り切れる程度の運営力はある。
○タスク管理・分担力
→×ここが壊滅的。どんなタスクがあるかまでは見える化できても、結局分担がうまくいっておらず、ほとんどを自分で抱えてしまっている。
○一スタッフとしての準備力(問題作成、企画構成、演出準備など)
→◎。ここがまさに「馬力」と「経験」の部分。
○一スタッフとしての当日運営力(司会、問読み、ディレクターなど)
→◎。どんなに事前準備に穴があっても、「とりあえず当日満足いただく」ところまではなんとか辿り着ける。
「どこが◎だよ」というところもあると思いますが、笑って許して頂ければ。
こう分解してみると自分の欠点は明らかで、「タスク管理・分担力の欠如を」「一スタッフとしての自分の馬力・対応力でなんとかしてしまっている」ということです。
裏を返せば、一スタッフとしての自分の馬力でなんとかなってしまっているのでタスク管理・分担力が成長しない。また、自分の馬力でなんとかなるレベルのこと(モノシリのような全国6地区・250人規模)はなんとかなっても、それを越えると大失敗をしかねない。
あと今回の主題ではないですが、「自他の能力・余裕」をあまり考えずに、「必要性を感じて思いついたものを見切り発車してしまう」というのがそもそもの問題だったりします。言ってしまえば、「次から次へと新事業を立ち上げ、ミスだらけの中走り回っているベンチャー企業の社長(しかもメンタルは弱い)」みたいなもので、周囲からするとそれは辛いよなあ、と。
今年の試行錯誤:「主宰の神野が」「一スタッフの神野に」仕事を発注する
で、今年テストしてみようと思うのが、「タスク管理・分担力」の強化です。
そのためにも、「主宰の神野」と「一スタッフの神野」を分け、前者が後者に発注する、後者は時間の枠内でそれを受注する……という形をとります。
今まではこの点がかなりごっちゃになってしまっていて、「誰も手を挙げてくれない……じゃあいいよ俺がやるよ」となってしまった。
しかし冷静に考えると「誰も手を挙げてくれない」には理由があります。頼み方が悪い(どれだけの時間がかかるかわからない、「全体に対する」必要性が伝わっていない、「自分が」やる必然性を感じさせない、メリットがない、等々)、そもそもスタッフの人数が足りていない、スタッフが他のタスクで忙しい、人望に問題がある、等。
「俺がやる」というのに甘えてしまうと、結局のところこの本質から目を背けたまんまで、それは良くない、と思い直しました。
なので「俺がやる」というのも、きちっと時間の上限を決めます。自分の馬力だけでは溢れてしまいそうなことは他の人にお願いする必要があって、お願いを受けてもらうために工夫をするところに力を入れたい、ということです。
もちろん、一スタッフとしての自分も「より効率的で生産性の高い」やり方を模索する必要があって、既存の仕事の効率を上げた上で、余剰の範囲内でさらに他の仕事を受託する、というようにしていかなければならない。
まあクイズタスクは大変だけど楽しいからね。しかも「クオリティを上げよう」「時間をかけよう」と思えばキリがありません。ただ、どこかで歯止めをかけないと負担はどんどん増すし、増した負担は他の人においそれと渡せなくなってしまう。これ、仕事と全く同じ話ではあります。
そう考えると、「働き方改革」の中で仕事で求められていることとまさに非常に近いわけで、いろんなことって繋がっているんだな、という感です。