橙武者クイズ文章置き場

クイズ企画者・プレーヤーの橙武者(神野芳治)です。Twitterでつぶやくには長すぎる文章をこちらに置いています。

明日はきっといい日に<2020年、クイズをするにあたって>(後篇)

 前篇はこちら。

diedie16.hatenablog.com

 曲の話は前回したので、今回は自分の話。重い話が苦手な方は回れ右でお願いします。

○翻って、ここ数年の僕は(成功例)

 周囲の方はご存知だと思いますが、僕は根がものすごくネガティブで、ペシミストで、自己評価が低いです(妻にもずっと笑われるくらい→「そんなん大したことないよ、なんとかなるよ」と笑ってくれる人で本当に良かった)。
 そういう所をバネにして高校受験に成功し(勉強以外自分のとりえと生きる道はない、と思っていた)、仕事もなんとかこなしています(プレーヤーとしての自分に自信がないから、プレーヤーがうまくいかないときにストレスに感じることをマネージャーとして排除し、うまくいくようサポートした)。

 

 クイズに関しても、「このままではクイズは駄目になる」「このままでは現代のクイズに満足できない人がどんどんクイズから離れる」というペシミスティックな将来を描き、それを回避する……というアイデアモティベーションで組み立てることが多かったです。もちろんネガティブ一辺倒ではなく、途中で「これ面白いんじゃね?」というポジティブな要素も加わるのですが、スタートはネガティブなことがほとんどです。

 たとえば「クイズに負け続ける方は、このまま楽しさを感じず、クイズを辞めてしまう」という危惧から、まずは演出にこだわり「見ていても楽しいクイズイベント」を志向しました(abcの時報演出やターンオーバーはそのごく一部の現れです)。その後は、

○「そもそもクイズをプレーヤーとしてやる機会が少ない」→多部屋制(サークルでもイベントでも)の推進

○「一部に解答権が偏っている。全員に解答権を与える手はないのか」→早立ち

○「結局のところは実力者層と一緒にクイズをやる限りは初心者は楽しめない。一緒にやる機会は制限した方がいいのでは?」→初心者限定イベント、地域限定イベント(遠征強豪勢の参加を抑制する)の開催

○「『クイズのために覚えた知識』では『強くなりたい』人以外が楽しめない。他で面白がれる要素がないか?」→モノシリの問題コンセプトの設計

○「順位が下位続きで『次頑張ろう』と思える人は少数派、多くの人は辞めてしまう。順位は下でも、1問正解したら輝ける仕組みがあったらいいのでは?」→殿堂制度

 などなど。いずれも主に「このままではダメだ」というネガティブな思いから、ポジティブなことをいろいろと生んできました。それにポジティブな思い付きが乗っかってきた、というのが一連の流れです。

 

 なおプレーヤーとしても、「このままでは自分はついていけなくなる→プレーヤーとしても企画者としてもクイズに興味を持てなくなり、辞める」という未来予想図を頭に抱き、それをどう回避しようか、というネガティブな考えで日々鍛錬しています(一方で「これ面白いだろ」というネタを見つけては自作をしたり、「問題集のこれとこれが結びつくのか」ということを楽しんだりなので、ポジティブな要素もなくはないです)。
 幸いなんとか「トップクラスの端っこ」くらいには食らいつけているので、あながちネガティブな考え由来の鍛錬も悪いことばかりではない。(ただし暗い)

○翻って、ここ最近の僕は(失敗例)

 これは僕以上に皆様の方がよくご存じだと思います。

 ×クイズ界への問題意識を強い口調で主張する。自分と異なる意見の人は辟易し離れていく。より多くの人の反応を得ようとして、反応はどんどん過激になっていく。

 ×自分のやっていることに対し、(口に出さなくても賛同する人がいるのに)悲観が過ぎて自他に絶望する。他の人への批判をしないようにしないようにとするあまり、自己嫌悪が募り、特に酒を飲んだときに自虐ツイートが止まらなくなる。

 ×自虐が自虐を呼び、何かスイッチが入ると自分を責め立てなければ気がすまなくなる。

 ×また余裕がなくなり、自分と異なる意見に対し、「多様性」を旗印に自分の意見を強く主張する姿が「押し付け」ととられる。

 ×徐々にひどくなる言動に、一部の人が離れる。それを見て余計に焦り、さらに自虐と過激化が進む。

 なお人前で「装っている」つもりはないですが、ネガティブでペシミストだからこそ、人前に出るときポジティブでありたい、という思いが強いですし(その結果とても騒がしい)、人前で楽しそうにしているときは実際に楽しんでいる。人前の自分も一人のときの自分もどちらも素です。
 そこまでは良いのですが、一方で一人になると急激に「もう片方の素」に戻ってしまい、過剰に「ネガティブ側にスイッチが切り替わりがち」……と自己分析しています。

 ……これがここ数年、2010年代の自分であったと思います。

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昨年年末に高崎で撮った画像。ビール→会社飲み→ビール→ビール→日本酒、とはしご酒……。

○ではどうするか

 というのは、今のところ具体的に「こうしよう」というのがあるわけではありません。 

 ただ、高橋優さんの言葉は一つのヒントになると思っています。

 

 ○「ネガティブな思い」が生まれるのは仕方がない。それはそれとして、それをそのまま表に出さず、「ポジティブな提案」「楽しそうなアクション」に転換してから出す。過去の自分はできていたわけだから、今後もできるはず。

 

 ○「このままではクイズ界は駄目だ」「ここが問題だ」ということしか言わない人についてくる人は少数。クイズを通して「楽しいこと」をしたい多数派の人は、自分に近寄らなくなる。自分もピエロのように、シンプルに「楽しいこと」を多くの人に広めることを心掛ける。

 

 ○「する」べきことはした上で、あとは「明るい将来」を信じる。うまくいかなかったら適宜フィードバックして(自分ばかりが原因ではないことに注意して)、その次の日の「明るい将来」を信じる。

 

 また、上記のことをするためには、時間・体力・気力のギリギリだとうまくいかない。「主宰としての自分が、実行者としての自分に仕事を振る」「実行者としての自分は、『ここまでしか働けない』という上限を設ける(平日2時間、土日6時間)」「実行者の自分で手が回らない部分は、他の人に早めにお願いする」ことを行う。

 

 ネガティブなペシミストが「明日はきっといい日になる」と思えるにはどうするか。多くの人の助けを借りながら、一つ一つ試してみようと思っています。
 とはいえ人間は一朝一夕には変わらないので、相変わらずネガティブなことを前面に出したり、言動が過激化することもあるかもしれません。そのときはアドバイス頂ければと思います(自己嫌悪が募っている時だと聞く耳持てないかもしれませんが……)。

 

 長くなりましたが、2020年のご挨拶に代えて。