橙武者クイズ文章置き場

クイズ企画者・プレーヤーの橙武者(神野芳治)です。Twitterでつぶやくには長すぎる文章をこちらに置いています。

『競技クイズ界は、「勝者以外は一切評価されない」』発言についてのメモ

 

『競技クイズ界は、「勝者以外は一切評価されない」』という発言について、いろいろな方から反応頂きました。

 とても一言で返せることではないので、メモ書きですが、自分が思っていることを書きます。

 

【クイズ以外も、競技は「『成果を出さないと、褒められない』のが当然、前提」?】

クイズに限らず、「競技」さらには「成果が問われるもの(仕事も含む)」は、基本的には「『成果を出さないと、褒められない』のが前提」だと思っています(あくまで僕の考えです)。

 ただ、一言で済ますにはあまりにも身も蓋もない(もっと説明が必要)内容なのは事実であり、「勝者ではない自分はクイズを続けるな、ということか」と不愉快になった方がいたら申し訳ありません。
 本意としては、「『より多くの人がクイズを続ける』『自分と周囲がクイズを楽しく続ける』ためには、上記の前提の中で、どう行動したらいいか」というところにあります。それが口先だけか、それとも言動に表れているかは、(それこそ)皆さんの評価を待つところです。

 

・なお、「成果を出す」というのは、「No.1になる」以外にも、
 「自己ベスト(初めてペーパー抜けた、等)」
 「事前の予想を覆す健闘(強豪相手に勝つ、等)」
 「局地的な活躍(印象的な正解をする、等)」なども考えられます。
 ただ、一番注目されるのは、やはり「No.1になる」ことです。クイズでもそれ以外の競技でも。
 (今回の発言について、自分の中では「勝者=No.1だけ」というつもりではなかったですが、後で読み返すとそう受け取れる表現でした。この点についてもお詫びします。いろんなレベル・カテゴリーの「勝者=成果」があるものだと思います)

・ただ、「『成果を出さないと、褒められない』のが前提」である一方、この前提の中で「長く楽しみながら続けていくために、どう対応していくか」というのが、非常に大事だと思っています。仕事にせよ、他の競技にせよ、もちろんクイズにせよ。

 

【競技クイズ界の中でも、既に対応されている方もいます】

「自分の周囲はそうではない」「自分は過程を評価されてきたからクイズを続けてこれた」というリアクションが見られました。それは素晴らしい環境だと思いますし、後述の通り自分も参考にしていきます。

多くの人が「褒められる」対象になることを意識するサプライヤーもいる、ということも理解しています。たとえば「全員に早押しの機会を提供する」というのもその表れですし、問題集で「参加者全員に何かしら触れる」というのもそうだと思います(ひろせさんやひまたんくんは凄いと思う)。

・ただ、上記のような配慮をしている人が複数いたとしても、競技クイズ全体を見ると、やはり「No1決定戦中心」で「成果を上げた人が褒められる、そうでない人は褒められない」という形になりがち、だと思っています。サークルやイベントの現場にせよ、SNS上にせよ。
 結果的に、「実力が右肩上がりで、以前の自分より成果を上げる人」はクイズを続けやすいですし、一方でなかなか成果を上げられない人はクイズから離れがち。

 

 これをなんとかしたい、とずっと思っています。
 力不足ですが、意識してやろうとしていること(やっていることもあるし、できていないこともある)は以下の通りです。

【「『成果を出さないと、褒められない』のが前提」に対して、企画者としてできること】

実力測定の物差しを複数用意する(短文基本以外の傾向のクイズ)。さまざまな傾向があれば、どこかで自分に合って活躍できるものがあるかもしれない。

クイズをする場を増やす(複数会場、複数公演)。場が増えればそれだけ「褒められる」「楽しむ」場面が増える。

レギュレーション制限を設ける(実績限定、地域限定など)。

勝っても負けても、全員のクイズをする機会を極力均等にする(勝ち残り制以外の企画、早立ちなど)。

1問の印象的な正解に対し、賞賛しそれを記録する場を設ける(殿堂など)。

・(これはまだできていないけど)他人と競うのではなく、課題をクリアしたかどうかを求める企画の実施(リアル脱出ゲームのようなノルマクリア型の企画など)

・問題集やツイートなどで、できるだけ多くの参加者に言及する。

などなど。

 

【「『成果を出さないと、褒められない』のが前提」に対して、他のプレーヤーに言及する際(サークルやイベント、SNS上などで)にできること】

・「No.1になったとき」だけではなく、「自己ベスト」「印象的な押し」をしたときには、声や文章にて褒める(イベントでもサークルでも)。優勝者以外も積極的に賞賛する。

得意なジャンルや傾向があるときは、その点を折に触れて褒める(特に団体戦)。

プレーヤー以外にも、「企画者として」「問題作成者として」「サークルの一員として(雰囲気作りや、クイズ以外の諸業務など)」「友人して」などの軸で賞賛する。
 たとえば、「優勝しました」系のツイートには大量のイイネが集まります。もちろんこれはこれでいいことなのですが、一方で「告知」とか「企画準備頑張ってます」系のツイートはイイネが非常に少ない。これは僕だけではなく、僕以外の人を見てもそういう傾向です。少なくとも自分は、最近極力「告知」「企画準備大変です」系ツイートにイイネをつけるようにしています。

 なお、最近「クイズ関係の話題が大会後半日~1日くらいしかもたない」傾向にあります。これは「企画者」「プレーヤー」ともに、賞賛される機会が減る、という点ではちょっとかわいそうな感が強いです。

 ところで「告知にイイネがつかない」のはクイズだけではないという意見も……。

 

 

 

 ただ、上記もよくよく考えれば「成果」を細分化してそれに対して褒めているわけで、「前提」の範囲内ではある。「成果」以外の部分に対して褒められているか、というとまだまだだと思います。
 成果が出ていない相手に対しても、「努力などの『過程』を褒める」とか、「チャレンジなど『行動』したことを褒める」というのを、自分はもっと意識してやらなければ、と思っています。仕事はまさにそうだし、クイズにも言える。
 古川くんが自分のイベントで「誤答した人に拍手」というのをやっているのですが、あれは素晴らしいし、自分も取り入れていきたいと思います。

 

【「『成果を出さないと、褒められない』のが前提」に対して、プレーヤーである自分に対してできること】

努力して強くなり、成果を出し、賞賛される。でもこれには限度がある。
 他人に褒められるに値しない成果しか出せないときは、自分で自分を褒める。

・「No.1」という大きな成果でなくても、断片的な成果(○ラウンドまで行ったとか、○○は正解できた、等)でも自分自身を褒める。誰からも褒められないときは、自分で自分を褒める。ただ今回にしてもそうだけど、これがなかなかできない。どうしても「No.1」に固執してしまう。

・細かい成果が上げられない(0○とか)時は、結果ではなく「努力している」「行動に移した」などの過程に対して自分自身を褒める。この点では今回は納得感が強かった。

・プレーヤーとしての自分に褒めることがなくても、企画者やサークル主宰としての自分に活路を見出す。

・褒める褒められないという点に拘らず、「自分が楽しいと思ったことをやる」「達成感を大切にする」ことを意識する。今回は「自作と多く被った」という点については「普段のアンテナの貼り方が企画者と合った」ということで、楽しかったし達成感があった。

 

 

 繰り返しになりますが、僕は「『成果を出さないと、褒められない』のが前提」というのは、そうそう覆せないと思います。この前提の中でどう最善を尽くすか、が重要だと思っています。

 上記振り返ってみると、できていることもあるし、一方で「やろうとしているけどできてないこと」もあり、「そもそもやろうともしていなかったこと(他の人の言葉で初めて気づいたもの)」もあります。改善途上。