橙武者クイズ文章置き場

クイズ企画者・プレーヤーの橙武者(神野芳治)です。Twitterでつぶやくには長すぎる文章をこちらに置いています。

ちょっと方向転換します(2)「プレーヤー」篇

  その1はこちら。

diedie16.hatenablog.com 

【プレーヤーとして一段落するにあたり、今思っていること】

 プレーヤーとして上を狙えばキリは無いし、自分の恵まれた環境であればもっと上を目指せる。42歳・26年目になった今でも。「クイズの強いおじさん」にもなれる。

 とはいえ、数年の紆余曲折を経て、ここ9か月「やれるだけのことはやった」というある程度の満足感は正直持っています。
 「競技クイズ(短文基本)が嫌だ、不満だ」「疲れた」「もう無理だ」という理由でフェイドアウトするのではなく、「好きだけど、他のこともやりたい」という理由で(少しだけかもしれんが)転進できるのは、本当に幸せなことだと思っています。

 

 そして、自分が「やれるだけのことはやった」と思えるのも、クイズ内外で非常に恵まれた環境にいるから、というのも自覚しています。(自分よりはるかに下の世代も含めて)強豪プレーヤーと戦えるというのもそうだし、クイズに時間を割くことができる仕事・家族の環境、というのももちろんそうです。
 あらためて感謝を。

【ここ9か月のマインドと戦績】

・(仕事的な)赤紙はいつまでたってもこない。赤紙が来たら一段落、第n章・完かなあと思っていたが、一向に来ない。
 とりあえず気にしても仕方がないので、ロスタイムと思って「今やれることをやる、楽しむ」「いつ途切れるかわからないから、短期的な対策ではなく、中長期的な実力向上につながる鍛錬を重視する」ことに集中。

・クイズと存在価値に関する悩みにずっと苦しんでいたここ数年だったが、2019年に入ってからは「どうせロスタイムだしなー」と割と気楽に臨んでいた。

・初戦のABC6は青8位→2R負け。以降、スピード系の大会には手も足も出ないが、他は校長で年間4勝。ずっと勝てなかったdon-dawnも勝てた。

・目標にしていた天8は、チームの勝ちは達成できなかったのは残念だが個人では8〇0×と躍動。やれるだけのことはやったし、久々にいろんな人に「今まで見た中でも一番強い」との評価をいただいた。それは素直に嬉しい。
 「クイズにあまり出ないいろんな傾向に目を配る」「他の人が作らない傾向の自作」というもともとの強みに、「問題集での鍛錬の結果」という強みの両軸でそれなりの結果は残すことができた。

・そして10月頭現在、まだ赤紙は来ていない。
 とはいえ天8とDTが終わる9月が一つの区切りかなあ、とずっと思っていて、今に至る。

【ここ最近のルーティン】

 「強くなりたい」「強くなりたいけど、何をしていいかわからない」「強くなるために努力しているけど、成長を実感できない」方の何かの参考になれば。

1日あたり、雑誌2冊(読み放題サービス活用)、1.3倍速のクイズ音声15分(若手に比べれば遥かに少ない)、問題集1-2冊、「わからなかったExcel」振り返り30分、それと英語15分と自転車40分。

 以上を毎日……が理想だけど、サボる日もあるのでだいたい週4-5くらい……のルーティンとしてやってきた。以前のように付箋を貼ったり自分を殴らなくても(言葉でも物理的にも)、「ルーティンをやって普通、やらないと居心地が悪い」という域に達することができた。

 

意識をしていたのは、「みんなが知っている部分を落とさないこと」と、「他の人と差別化できる質・量の知識を身に着ける」こと。
 
前者はレッドオーシャンだし、そもそも「みんなが知っている知識(「クイズ界だけでのベタ」「確定ポイント」も含む)」に対する関心が薄い以上、本当にそういうのが好きで毎日没頭している人には勝てない。
 後者は逆に自分にとって没頭するほど好きな傾向だけど、これだけやっていても非効率的。

 

・ただ、上のルーティンのクイズ部分をこなすのに1日2-3時間くらいはかかるし、こんなのは長続きはしないよね、今のうちだよね、とは思っていた。だから続けられたんだと思う。
 また、ルーティンと仕事でへとへとで、mono-seriesなどサプライヤー側のことはかなり仕事をためてしまったのは大反省。

 

・そういうのもあって、10月以降はプレーヤーとしてのルーティンは半分以下に軽くして、その分の時間と労力を「サプライヤーとしての諸アクション」や「自分が自発的にプレーヤーとして臨みたいと思える傾向、覚えたいと思える知識」に回そうと思っている。というよりもともとそうだったので、2010年ころの自分のスタンスに戻る、というのが正確かもしれない。

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本題ではないですが、出張でフランスにいます。クイズ知識であった「CDG」を血肉に。写真は「早押しで4→3に絞って1人1答やらせる」フランスのクイズ番組。

【「競技クイズ(短文基本クイズ)」を少し好きになれた。ただし一番ではないし、全部が肌に合うわけではない。】

 似たような点で悩んでいる人は少なからずいると信じている。誰かの心に響くといいな、と思って書いている。もちろん、「何を言っているのか全くわからない」「自分については競技クイズ(短文基本クイズ)が楽しくて楽しくてしかたがない」という人はいると思うので、万人に伝わる言葉ではないと思っている。

 

・やっているうちに実力が向上してくると受け取り方も変わってくる。最初は「みんなが知っている知識」特に「クイズ界だけでのベタ」については批判的というか引いた立場にいて、無理してルーティンをこなしていた。けど、いろんな問題集を読む上で「あ、これはあそこにも出てた」「この知識とあの知識がつながるのか!」「最近どうもこの問題は頻出されるようだな」などがわかってくると楽しくなってくる。
 また、雑誌や本に触れていると、「お、これ問題集で見たやつだ」というのも増えてきた。そうすると雑誌や本を読むのがさらに楽しくなってくる。

 クイズが「知識を得る入口」というこちが実感できると楽しい。一方で「クイズに出る知識にしか関心が持てなくなる袋小路」になることは自他ともにありがちなので、その点は視野が狭まらないように気をつけたい。

 

・なお、「確定ポイント」については何年か「好きになってみよう」と努力したが、結局のところ最後まで肌が合わなかった。ここがプレーヤーとしての自分の一つの限界ではあると思う。
 (Twitterとかでそういうことを多く書くアカウントは、精神衛生上外して極力見ないようにした。もちろんその人は好きなことを発信しているわけだし、もちろんまったく悪気がないのも理解はする、けど、「自分があまり好きになれないこと」で複数人が盛り上がっているのを見ると、精神状態が安定していないと「これを楽しめない自分はどこか劣っているのではないか」「自分はもう過去の人間ではないか」などと感じてしまう。もちろん、クイズの楽しみ方はさまざまであり、「そうではない」と断言します)。

・逆に言うと「確定ポイント」の研究が好きではない人でも、知識があれば僕レベルにはなれる、という例ではある。競技クイズで勝ちたいならば、効率は良くないけど……。

 【今後について】

 (1)でも書いた内容になるけど、いろいろ書いたけど、外から見るとそんなに変わらないかもしれない。
 負けるつもりでクイズはやらないし(負けても仕方がない傾向、状況はあっても)、勝ち負けは別としていろんなことを知ったり、知識どうしの繋がりに気付いたりするのは楽しい。なのでクイズイベントにはできる範囲の準備と鍛錬をして臨むし、鍛錬に割く時間が減っても当日は「自分の持っているもの」を最大限に生かす。また、勝ち負けとは別として、問題集を読むのは楽しいのでこれは継続する。 
 

 最後に、サプライヤー側の話につなげると。

 

 自分がプレーヤーとしてはそこそこ満足できる結果を残せた。ただ、「プレーヤーとして満足した結果を残さないと、クイズ界に残りづらい」「クイズを続けるためには、鍛錬し続けないといけない」という、「過去の自分」を正当化・絶対化するスタンスに陥らないように強く気をつける。

 「強くなろう」としなくても、「強くなろうとしたけど強くなれなかった人」でも、「プレーヤーとしてよりも、観客やサプライヤーでありたいという人」でも、楽しめるクイズ界でありたい。

 もちろん、プレーヤーとして「強くなろう」とする人が楽しめる傾向は否定しない(自分も割く時間・労力を減らすだけで、強くなりたい、勝ちたい、というのは変わらない)。また、強くなればより楽しくなる、というのも事実(他の趣味でも習熟した方がより楽しいのは事実)。
 けど、そうでなくても楽しめるクイズ界に少しでも貢献するのが、「さまざまな世界を見てきた」自分にできることだと思っています。

 ということで、サプライヤー篇に続く。