橙武者クイズ文章置き場

クイズ企画者・プレーヤーの橙武者(神野芳治)です。Twitterでつぶやくには長すぎる文章をこちらに置いています。

【長野市オープン】(2)団体戦を導入した5つの理由

 長野市オープンについて、第2回です。このイベントは下記のようなスタイルを導入しました。

・全体を7つ(最大9名)のチームに分けて行う団体戦。「県内学生」「県外学生」「県内社会人」「県外社会人」が極力均等になるようチーム分けする。

・予選の7ラウンドには、1人あたり2回ずつ出場。

・予選上位の2チーム+プレーオフで勝ったチームが決勝進出。

nagano-quiz.jimdo.com

 今回は、スタンダードな「個人戦」ではなく、上記のようなスタイルの「団体戦」にしたのはなぜか、ということをご説明します。

 (1) 「勝ち残り制」個人戦のフルオープンは、他にもたくさんある。一方で団体戦はまだ少ない。

 新・一心精進を見れば、大量の「勝ち残り制」個人戦のフルオープンが掲載されています。わざわざ長野で自分が同じスタイルのものをやらなくても、と考えていました。この点については前回の記事もご覧ください。
 一方で、団体戦を導入したイベントはまだ少ないと考えています。特に「競技」以外を主目的にしたものは非常に少ない。ここにやる意義がある、と考えました。

diedie16.hatenablog.com

(2) 普段はなかなか対戦できない「いつもの遠征勢」と対戦したい、「いつもの遠征勢」がクイズをするのを見たい、というニーズも満たせる。

 地方で「勝ち残り制」をやるニーズとしてあげられるのが、地方勢も「いつもの遠征勢」と対戦したいし、クイズをするのを見たい、ということです。確かに遠征勢を「いつもの」と表現してしまうのは、自分自身が「よく大会に出ているから」です。あまり遠征しない地方の方からすれば、遠征勢こそが「非日常」なのです。

 ただ、個人戦でなくても団体戦でもこのニーズは満たせる個人戦じゃなければ真剣にやらない、というわけではないでしょうし。また、(交流については(4)で触れますが)「いつもの遠征勢」と同じチームでたくさん交流できる、というのは団体戦ならではのメリットだと考えました。

f:id:diedie_16:20180904150756j:plain班ごとに分かれた島型の席、「まず自己紹介をお願いします」というアナウンスに対し、「会社の研修みたい」という声が聞かれた。うん、僕もなんとなくそんな気がしてきた。昔取った杵柄(3年間研修担当をやっていたのです)。

 

(3) クイズに参加する機会を均等にできる。

 「勝ち残り制」イベントは、「勝ったら次にクイズができる、負けたらもうクイズができない」というものです。
 シンプルな「勝ち残り制」(ペーパー→全員参加2○2×→コース別→敗者復活→準決勝→決勝、形式は基本早押し)を想定します。ストレートで決勝に進出した人は「早押し4回・紙1回の計5回」クイズができますが、ペーパー落ちした人は「早押し1回・紙1回・敗者復活1回の計3回」しかできません。合計回数では5回と3回と微妙な差ですが、みんながやりたい「早押し」で見てみると、4回と1回、これだけ大きな差がでてきます。

 もちろん「実力ナンバーワンを決めよう!」というコンセプトで、みんなが「負けたらそれ以上クイズができない」ということに賛同しているイベントならば、それで全く問題はありません。しかし、「みんなでクイズを楽しもう!」というコンセプトのイベントで、クイズの実力・勝敗によってここまで機会の差がついてしまうのは、個人的には避けたいと考えました(もちろん各イベントごとの考えがあるので、他のイベントを批判するわけではありません)。なので、かなり早い段階から「勝ち残り制」という仕組みは除外して考えていました。
 

 

 ともあれ、「ラウンドポイント制の団体戦であれば、出るラウンド数を均等化できる。これにより、「いつもの遠征勢」も、「県内の社会人勢」も、はじめてこのような大会にでる「高校生勢」も、みんなほぼ同じ量クイズができる(決勝があるので「完全に同じ量」ではないですが、決勝進出チームは多目、ボリュームは抑え目にしました)。
 もちろん個人戦でも「均等」にすることは可能で、ラウンドポイントによって決勝をクラス別にするもの(太陽の季節杯、ソラーロ杯など)もあります。ただ、団体戦は「人数が増えても対応しやすい」などの理由で、より均等にクイズを提供しやすい、と考えています。

 イベントにせよサークルにせよ、僕は極力「クイズに参加する機会は、実力や勝敗によらず均等にしたい」と思っています(できれば「解答する機会」も均等にしたい)。「勝っても負けても同じ量クイズに参加できる」というイベントはもっと増えた方がいい。早立ちについても、この考えにのっとったものです(だからこそ、長野市オープンでもプレーオフで導入しました)。ここはまたあらためて説明します。

diedie16.hatenablog.com

(4) クイズ大会の最中は、ほとんど会話ができない。会話ができるとすれば団体戦

 「クイズイベントは交流のきっかけ」とはいいますが、実際のところ、クイズをやっている最中はなかなか話す機会はありません。基本大会前後や休み時間など限られた時間になります(やっている最中にしゃべっていたらうるさいし、わざわざ会場の外には行かないので)。
 懇親会は貴重な機会になりますが、特に高校生などは懇親会に出場するのはなかなか厳しい(AQLのようにノンアル、という事例もありますが、長野の場合は「電車の都合で遅くまで残れない」という事情があります)。

 「大会途中に会話する機会がある」そして「自然とチームメイトを応援できる」という点、団体戦は非常に優れています。

(5) チーム分けのやり方によっては、県内-県外、社会人‐学生など、幅広い交流が可能。

 今回は「県内学生」「県外学生」「県内社会人」「県外社会人」が極力均等になるようチーム分けしました。極力いろんな環境の人と交流できるように、という意図です。これはRiverside Quiz Festa in Asahikawaの仕組みを使わせて頂きました。

 「1チームに一人兼任スタッフが入る」「(こちらの判断で)各大会で実績を残した人を、各チーム均等になるよう配分する」ことと合わせるとかなり複雑になり、結果的に「明らかに強いチームができてしまった」「受付が手間取った」という点は要改善ではありますが、おおむねうまくいったと思っています。
 この点については、(4)同様、団体戦ならではのメリットだったと考えています(個人戦の対戦相手だとすれば、それほど多くは交流できない)。

 

 

 

 もちろん、スタンダードな「勝ち残り制」個人戦には、今回の長野市オープンにないメリットもたくさんあります。ただ、このやり方には、個人戦にはないメリットがたくさんあり、補完しあえるものだと考えています。
 「早押し機の端子数以上に人が集まる場」であれば、「勝ち残り制」個人戦以外の選択肢として、こういう団体戦を採用するのも手だと思います。
 サークル間の交流戦(シャッフルしてチームを作る)、大学のOBOG会(世代が均等割になるようにチームを作る)などは特に相性がいいのでは、と思います。

 

 

 次回は「兼任スタッフ」が1セットずつ担当する、という仕組みについてご説明します!