橙武者クイズ文章置き場

クイズ企画者・プレーヤーの橙武者(神野芳治)です。Twitterでつぶやくには長すぎる文章をこちらに置いています。

【mono-series】(1)誰もが主役になり得る、「早立ちでの長時間全員参加」と「殿堂」~「勝ち残り制」「No.1決定戦」以外の可能性 

 6-8月に各地で開催した「学園mono-series」、やってみての感想です。といっても大半はmono-seriesと共通しています。

gakuen-mono.jimdo.com

 

問題の難しさへの不安と、想像以上の反応

 「学生限定」ということで開催した今回の学園モノシリですが、正直なところ、開始前はいくつか不安がありました。

・集まった問題が、「面白さ」は本家同等だったが、「難しさ」も本家とあまり変わらないこと(一部易し目の問題はあったが)

・学生の方にとって、「早立ち」というスタイルがまだ認知されておらず、「早押し」に普段慣れている方がどう受け取るか未知数だったこと

・同じく、「モノシリ系」の問題傾向・難易度も認知されておらず、「短文基本」を普段楽しむ方(高校生の大会は後半になるとかなり難問になるのが見受けられますが)の反応もやはり未知数だったこと

 

 

 が、いざ蓋を開けてみれば全国各地、かなりの盛り上がりを見せました。競技クイズでも名を馳せる強豪から、小学生の方まで、いろんな方にそれぞれに「見せ場があった」、言い方を変えれば「主役になる瞬間があった」

 

 ちなみに一番印象的なのが、仙台で小学生の方が『愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない』を正解したとき。

「え、B'z好きなの?お父さん(クイズプレーヤー)の影響?」
「いや、この前クイズ番組で出てまして」
「既出か……。」

 

 さて、誰もが主役になり得る仕組みはどこか、という点で、企画・演出面では2つあると思ってます。一つは「早立ち」、もう一つは「殿堂」です。

 「早立ち」での長時間全員参加

mono-series.jimdo.com

 「早立ち」を採用することで、全員が長時間・同じ量、たくさんの問題に触れることができる。今回難し目の問題とはいえ、一日いればどこかしら引っかかる問題があるわけで(そういうのを狙った傾向ですし)、どこかでそれぞれの「萌え問」で立つことができる。
 早押しであれば答えられるのは1問につきたった一人です。また、ステージで人数・機会が限られる「勝ち残り制」ではタイミングが合わないことがある。参加側からすると観客席で「あの問題わかったのにー」、出題側からすると「あの人が解答席にいれば正解出たのにー」ということはよくあります。一方、「早立ち」は1問につき複数の方に正解できる機会がある上、そのようなミスマッチを減らせる(本家モノシリでは「抜け番の時に萌え問が来る」のがあるあるですが、他のイベントよりは減らせています)。

 他にもいろんなやり方があると思うのですが、比較的「早押し」に近いスリリングさを持ちながらも、全員に大量のクイズが提供できる点で、「早立ち」というスタイルに改めて自信を持つことができました。

「早立ち」を、 他の傾向・イベント・サークルでもどんどん使ってください!

 今回は「クイズには出ていなくても、その業界では有名」などの「モノシリ系」の問題を中心に実施したのですが、短文基本、長文難問、アカデミック系、発想系(早く気づいた人が先に立つ)など、様々な傾向でもっと「早立ち」は使えるのではないか、と思っています。
 mono-seriesでやる以上どうしても「モノシリ系」だけになってしまうので(それはそう)、mono-series以外でいろいろな傾向の「早立ち」をやる場をもっと増やしていきたいな、と思っています。

 なお「早立ち」については権利を主張するつもりはないので、イベントやサークルでどんどん活用して頂ければ非常に嬉しいです。実際、九州の学生さんから「対抗戦で使いたいんですが……」という問い合わせを頂き快諾したこともありました(もちろん問い合わせなしで使って頂いてOKです)。各地で早押し機の人数を超えるほど急増している大学・高校のクイズ研の例会でも、「早立ち」は使えると思っています。ぜひご活用を!

「殿堂」という形でのスポットライト

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仙台での殿堂の模様。7人の参加者(小学生含む!)全員が殿堂に入っています。

 

 mono-seriesといえども明確に順位はつけるので、中にはなかなか正解できず、順位点がずっととれない方もいらっしゃいます。
 ただ、正解が少ない方でも、自分に合った問題で少数正解をすれば「殿堂」入りという形で目立つことができる。あまり考えずに「なんとなく」「余興」で始めた制度だったのですが、これは「主役だと感じていただく」意味で非常に効果があった、と今回あらためて実感しました。

 今回の問題傾向がうまくはまったのもありますが、「特定の方だけがたくさん殿堂に入った」というわけではなく、「いろんな方が(それこそ前述の小学生含め)殿堂に入った」ということで、スポットライトを多くの方に当てることができたのは良かったと思っています。

 もちろんステージ上でやる「勝ち残り制」「No.1決定戦」でも健闘した人にスポットライトを当てることはよくありますが、その人数や機会は非常に限られます。ラウンド内で勝ち抜けに迫るとか、よほど印象的な早押し正解をしないと(当然、1問につき早押し正解できるのは1人なので、可能性は少ない)なかなかライトは当たらない。それに比べると「No.1でなくても」「たくさん正解しなくても」、「1問印象的な正解をすれば」主役になれるのがmono-seriesにおける「殿堂」のメリットだと感じています。

 他のイベントでも「殿堂」みたいな形の表彰の仕方はアリかもしれない。「人数」という基準は使えないので、観客が沸いた問題について、スタッフが脇のホワイトボードに名前書いておくとか……。

 

 

 もちろん「勝ち残り制」のイベントにもさまざまな利点があります(「多くの方が主役になる」ことを狙ったイベントもある)が、そこで充足しにくい部分はたくさんあります。今回の切り口で言えば、ステージでやる以上どうしてもクイズができる人数/機会は限られますし、スポットライトが当たるのも一部の強豪と健闘した方くらいです(だからこそ「ステージ上でのクイズ=非日常」であり、「希少価値だ」「ステータスだ」というのもわかります)。
 その充足しにくい部分の一部を、「早立ちなどによる、解答権の拡大」「殿堂などによる、表彰機会の拡大」などでカバーできるのではないかな、と改めて思いました。もちろん他のスタイルでも、工夫次第ではまだまだ「誰もが主役になり得る」ことは可能だと考えています。

 

 こんな感じで学園mono-seriesで感じたことを書いていきます。
 なお当方は主宰ではありますが、この文章置き場の文章はあくまで個人の意見・見解であり、「mono-series実行委員会」全体の意思を表明したものではありません(プロフィール欄にも書いてますが、今後他の大会にしても同様です。組織を代表して書くときは公式サイト・アカウントを使用します)。


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